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プラハ(チェコ)
 
 

 

 

 

 

 

初夏の太陽が ヴルタヴァ川の小さなさざ波に絡まって 宝石のように輝いている。
時折吹く風が 対岸に浮かぶ王宮に向かって、光の粒をまきあげる。
耳をすませば キラキラと音がするのではないかと 身を乗り出してみたくなった。
音にならない かすかな振動が、空気を伝って風になる。頬に届く寸前に かき消されてしまっても、今しばらく待っていよう。きっと 川面をなでてくる光と風が 海の波のように 戻ってくるはずだ。
何ということだろう、みてきたばかりの王宮と 眼下にひろがる美しいプラハの町が、急に空しく感じるほどの輝きを この川は一瞬で作り出してしまった。
季節や 時間に身をまかせ、無数に表情を変えながら蛇行する流れ、古い家並みを抱いて、長い歴史や人々の想いを包み込む。 どんなに贅を尽くしても 自然が織り成す たったひとつの瞬間には及ばない。だんだんと 風は川の深いところをえぐりながら 強く、濃く、重く まとわりついて、木々を揺らし始める。
カフェに並ぶパラソルの影が 少し長くなる頃、ひんやりとした匂いが王宮の丘から駆け下りてきて、夏には まだ早いことを教えてくれた。



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